欧州サッカーにおいて最も重要なものは美しいパスでもダイナミックなゴールでも5人を抜き去るドリブルでも体を投げ出すディフェンスでもありません。
「結果」ただそれだけです。
ボコボコにやられながらも相手FWが精度を欠き、たまたま得たオウンゴールでの得点で1-0の勝利でも、勝てばそれで良いのです。
勝ち点3こそ最も重要なのです。
言い換えましょう。
スピードとテクニックで敵のサイドを切り裂こうとも、神セーブで失点を防いでも、ピッチを縦横無尽に駆け回って攻守に貢献しようとも、有望な若手が何人も揃っていても、勝てなければ意味がないのです。
ウノゼロを文化とするカルチョにおいてこれほど分かりやすい価値観は他にない。
僕らは一度認識しなければなりません。
僕らは欧州で最も若いチームであり、最も勝利から遠いチームだと。
順位で言えばちょうど真ん中くらい。
下を見ればまだ降格圏には余裕があります。
しかしそんなことは問題ではありません。
いくら美しい芽を揃えたところで育たなければ意味がない。
フィオレンティーナには成長がない。
セリエA開幕当初、監督解任候補筆頭として名が挙がったのはボローニャ率いるインザーギでした。
しかし彼は格上ローマ相手に勝利をつかむと、そこからパラシオやサンタンデールが牽引する攻撃的なチームを作り上げ、見事にボローニャのインザーギを疑う者を黙らせてみせました。
キエーヴォに目を移しましょう。
第2節にてヴィオラが大勝を飾った相手ですが、2度の監督解任を経て、遂に新監督のもとナポリ相手にアウェーで勝ち点を持ち帰っています。
悩みどころであった選手起用に最適解を見つけ出したような雰囲気がありますね。
インテルやローマはどうでしょうか。
開幕こそ躓き、ネガティブな意見も聞こえてきましたが、前者はCLでスパーズに勝利して以降調子は上向くばかり。
後者は怪我人の影響もあってまだ不調が続いていますが、CLではしっかり結果を残しています。
では、ヴィオラは?
勝利が絶対条件の相手に引き分け続き。
未だエースは不調で攻撃パターンはバリエーション不足。
交代策にも望みはほとんどありません。
主力に届いた高額のオファーを跳ね除け、その上で新戦力を揃えたということは今季目に見えた結果を残すことが絶対条件であることなんて誰が見ても分かりきっています。
言うまでもないのですが、今のままでは話にならない。
シメオネは昨季以上の得点が義務であり、キエーザはフィニッシュ制度を向上させなければなりません。
ミレンコビッチにはフィードのスキルを上げ、かつエリア付近でのクリーンな守備を身に付ける必要があります。
ペッセッラはラインコントロールをはじめとする守備組織をまとめ上げる力、ウーゴは的確な逃げとタイミングの良いカバーリング。
ビラーギは守備における一対一をより強化したい。
ヴェレトゥはミドルシュートと左右のゲームメイクが備わればセリエでも有数のセントラルになる。
ピアツァはチームのリズムを理解し,オフザボールの動きを改善する必要があるでしょう。
ミララスには技術があるのだから、もっとエゴイスティックにゴールを狙いにいっていい。
ジェルソンは敵を崩すスルーパスとインターセプトを増やしたい。
エジミウソンは守→攻の切り替えのスピードアップとリズム変化。
ベナッシは攻守の組み立てを覚えなければアッズーリには呼ばれません。
ラフォンは最後尾からのコーチング技術とクロスボールの対応を学びたいですね。
それぞれ素人目に見ても課題はたくさんあります。
今あげた僕の印象がどこまで正しいかは分かりませんが。
次節はホームで宿敵ユヴェントスを迎えます。
ホームは得意だと言いたいところですが、このドロー続きがホームのカリアリ戦から始まっていることを考えれば、そんな文言は気休めでしょう。
しかし僕らには勝利が必要です。
どこかサポーターの間には「ユーヴェには引き分けで十分」のような雰囲気がありますが、僕はそんなこと微塵も思いません。
リーグでユヴェントスから勝ち点3をあげる最初のクラブに僕らがならなければなりません。
カンピオナートでユーヴェより高い位置に行くには大きな運が必要です。
何故ならそれはヴィオラが勝ち続けるだけでは実現しないから。
ユーヴェを他クラブが倒すという他力次第な部分も少なからずあるからです。
ただ、直接対決のたった1節だけならば話は別だ。
引き分けで終わる気なんて少なくとも僕にはさらさらありません。
勝ち点3で及第点です。
前置きが随分長くなりました。
少し疲れたのでこのまま選手の採点で終えようと思います。
それでは皆さんおやすみなさい。
ラフォン 7.0
上が白で下が緑というアウェーユニの組み合わせがダサかったことを除けば完璧だった。見事なセービングでネットを揺らさせなかった。
チェッケリーニ 6.0
パフォーマンス的には可もなく不可もなく。ペッセッラの代わりが務まったわけではないが,初出場でクリーンシートに抑えたことは評価したい。連携面や判断はまだまだこれから。
ウーゴ 6.0
無失点により及第点。しかしリーダー不在時に守備陣を率いるのはウーゴでなければならなかった。序盤の守備陣がまとまりに欠けたのはウーゴに自覚が足りなかったからではないか。
ミレンコビッチ 6.5
攻守のバランスを考えながらその両方に貢献した。強烈なミドルやポストを叩いたヘディングシュートは今や立派な武器である。
ビラーギ 6.5
守備は徐々に良くなっている。この試合のクロスには狙いを感じた。自ら突破を試みる場面もあったが、これについては勇敢と言うより無謀であったと言わざるを得ない。しかし、チャレンジ自体は評価していいだろう。
ベナッシ 5.5
序盤こそゴールの可能性を感じたが、時間が経過するにつれてその可能性は感じなくなっていった。崩しだけでなく組み立てができるようになりたいところ。
エジミウソン 5.0
攻守両面において相手の脅威にはなり得なかった。左右に揺さぶろうとする意思はいくらかのパスから感じたが、リズムを作ることもリズムに変化を加えることも中途半端に終わった。「いただけ」感は否めない。
ヴェレトゥ 7.0
どの試合でもヴェレトゥだけは安心して見られる。積極守備からカウンターに転じてピッチの端から端まで全力疾走を繰り返した。敵の流れを読む力と自軍の流れをつくる力がある。
キエーザ 5.5
果敢にゴールに迫ったが、結果として何も出来ず。自分で狙いに行く姿勢は良いが、それに終始してしまうようではワンパターンだ。メッシやネイマール、アザールらには類稀なるドリブルセンスと同時に味方を使うアイデアと活かすパスがあることを知る必要がある。
ジェルソン 6.5
これこそ欲しかったWGだ。攻撃のリズムを崩さぬままスピード感溢れる個人技や連携で敵を崩しにかかった。個人的にはこのままWGで見たい。
シメオネ 4.5
前を向け。ゴールを見ろ。狙う場所はそこだろう。味方や敵ばかりを見るな。ストライカーはいつだってフィニッシュを狙って走るべきだ。余計なタスクばかり考えずにただ一点だけ見ていれば、それでいい。
テレオー 5.0
残念ながらオプションにはならず。テレオーはシャドーやセカンドで活きるタイプだろう。2トップをやるのならば選択肢の一つになるかもしれないが、この試合で説得するだけの力はなかった。
ミララス
出場時間が短すぎるため採点不可
ダボ
出場時間が短すぎるため採点不可