セリエAで最も欧州サッカーマニア受けが良いクラブ(アルノ川調べ)ことナポリですが、フットボールの最先端を行くチームの仲間入りを果たしたのはつい最近のこと。
それまでどちらかといえば強豪クラブの中ではいまいちパッとしない部類であったナポリを現在の高評価まで押し上げたのには、多くの選手や監督たちの尽力があったのは間違いありません。
そしてその中でも別段の貢献を見せた選手といえば、先日退団の発表されたマレク・ハムシクその人です。
2007年からナポリの顔として10年以上チームを引っ張ってきました。
マラドーナを抜いてナポリの歴代得点ランキングトップに君臨していることからも、その貢献度の高さは明確です。
ナポレターノにハムシクを悪く言う人は誰一人いません。
僕は度々ブログやTwitterでユーヴェ嫌いを表明してきましたが、一度も勝てなかったモンテッラ期のCL権争いや13/14シーズン決勝で敗れたコッパ・イタリアから、ナポリに対してもそれほど良いイメージを持っているわけではありません。
まぁこれは単純に僻んでいるだけなのですが。
しかし、そんな僕でもそれぞれのクラブのレジェンドであるジャンルイジ・ブッフォンやクラウディオ・マルキージオ、そしてマレク・ハムシクの移籍に際しては、心よりの敬意と共に拍手を送りたいと思います。
移籍の決断は決して容易ではなかったはずです。
クラブ側から「不要だ」と言われたわけではないでしょう。
彼らがチームと自身のキャリアを思い、悩みぬいた末の決断だったのだと思います。
「月日は百代の過客にして、行きかふ年も又旅人也。」というのは奥の細道の有名な書き出しですが、流れゆく年月が旅人であるとするならば、それと共に歩むクラブもまた旅人であるわけです。
そしてその中で長らく共に歩んできた旅の仲間とも、いつかは別の道を行くことになるでしょう。
僕ら中堅クラブのサポーターは痛いほど知っている現実です。
しかし、分かれ道は思いのほか先で繋がっていることもあります。
僕らのもとにドナデルやヨルゲンセンが違った形で戻ってきたように、きっと彼らも彼らと共に歩むべきクラブも元へといつか違った形で戻ってくるのだと思います。
それまで時々轍を見返して楽しく苦しかった日々を思いながら、また先へ先へと旅を進めるのです。
フェデリコ・キエーザにも同じことが言えます。
かつてアルゼンチンが世界に誇る名ストライカーであったバティストゥータがヴィオラを離れる決断を下した際、誰がゴールを決めるのか?とインタビュアーから質問を受けた幼少期のキエーザは「僕だ」と言いました。
その彼が今チームを引っ張っているのです。
月日とはまさに旅人のようではありませんか。
きっと僕らとキエーザが分かれることがあったとしても、今なら笑顔で送り出してやれると思います。
僕らと彼の進む道は、きっとまたどこかで交わっているのではないかと、不思議と思えてしまうから。
書き出しが随分長くなってしまいました。
ヴィオラの次なる相手はそんなナポリです。
勝てる気はおおよそしないのですが、かといって笛が鳴る前に負けるつもりもありません。
フィオレンティーナはミレンコビッチが累積で次節出場停止、ウーゴが負傷から戻らなければ守備陣のレギュラーメンバーはペッセッラとビラーギの二人だけになります。
また、ベナッシも確か2試合出場停止だったため、この試合も出場できません。
つまりは絶体絶命です。
使える控えのカードとしては、ハンツコ、ロウリーニ、チェッケリーニの3名のみ。
おそらくチェッケリーニが真ん中の右にロウリーニとなると思います。
最近のザル守備から考えても、まず無失点は不可能です。
となれば、毎度お馴染みバカ試合をやるしかありません。
ムリエル先輩の出番です。
あとは、正直に申し上げまして、フルメンバーのナポリ相手に今のメンバーで勝とうと思うと、主審のジャッジがヴィオラ寄りであることは不可欠だと思います。
不平等なジャッジを望むわけではありませんが、ホームという利点はそういうところに現れてきます。
苦手なマリーシアがどこまで活きるかというのも勝負を握る重要なピースとなるはずです。
ひたすら殴られながらカウンター狙いというのが考えられうる最も妥当なゲーム展開になると思います。
敵に油断はないでしょう。
油断してきたローマ相手に最近フランキで大勝をあげたところですから。
どれだけ打たれても僕らには成長するGKラフォンがいますし、なんならやられすぎてこの試合でラフォンがデ・ヘアへと変貌を遂げるかもしれません。
そして前半戦、アウェーでナポリを脅かしたキエーザはピッチに立ちます。
散々に言いましたが、僕は勝利を信じずに画面に向かうことなどありません。
フランキに鳴る笛の音は大きな歓声とともに東の果てへと届くはずです。
ご意見・ご感想ございましたらコメントいただけると嬉しいです。
拙い文章読んでくださってありがとうございました。