アッズーリのW杯予選敗退から考える
朝起きたらいつもながらTLがアッズーリのW杯予選敗退で埋まってました。
アウェーでスウェーデンに敗れ,ホームでもスコアレスで勝ちきれず敗退。
当然監督のヴェントゥーラには批判の嵐。
デ・ロッシやジジ,キエッリーニやバルザーリといったアッズーリの重鎮がここで代表のユニフォームを脱ぎます。
ジジが観客の前で敗退を詫びたのに対し,ヴェントゥーラがインタビューを拒否したそうで,さらに野次が飛び交ってますね。
1つだけ彼を擁護するとしたら,インタビューの拒否によって,選手にも少なからず向けられる批判を監督にだけ向けさせたとも考えられます。
勿論生粋のセリエ好きである僕としてもアッズーリの敗退は残念でならないのですが,世代交代の波がここにもきたかと考えさせられる一幕でもあります。
W杯はナショナルチームにとって最も大きな大会であり,同時に世代交代のきっかけとなる重要なテイクオーバーゾーンでもあります。
アッズーリはこのテイクオーバーゾーンを無視し続け,次の選手にバトンを渡すことをしませんでした。
結果として,この敗退で主要選手を大きく失い,特にDFラインは壊滅的となってます。
中盤底の選手ですが,デ・ロッシで例を挙げます。
デ・ロッシは中盤底からのゲームの組み立て役として配球のできる選手ですが,それ以上にローマでCB起用されるほど守備力の高い選手でもあります。
年齢的にも運動量と可動域に期待できる選手ではありませんが,そのスキルは他の選手にないものです。
その役割を能力的にはジョルジーニョに受け持ってほしかったのですが,ヴェントゥーラは招集せず。
衰えの出てくるローマのデ・ロッシからナポリのジョルジーニョが唯一直接学ぶ機会である代表で共に戦えないのは大きな痛手です。
現状,優勝したドイツW杯の時と比較するとタレント不足は明らかなわけです。
つまり育成環境の充実はセリエにとって大きな課題。
近年一気に台頭してきたアタランタやブンデスのクラブは育成に力を入れており,ここからワールドクラスの選手たちが生まれてきました。
一方でベテラン重視のセリエも変革期を迎えているところではあります。
競争力が戻ってきたことは先日書かせていただいたので省略しますが,クラブだけでなく代表も変革の時を迎えているわけです。
いかに次の世代にバトンタッチするかが大きな鍵になります。
また,ここから学べるのはなにもアッズーリのみに限りません。
世代交代に失敗した大きな例としてオランダも挙げられますが,ここではオランダでなく日本代表にフォーカスします。
代表を任される監督にとって,必ずしもW杯で良い結果を残すことのみが求められるのではありません。
さらに言えば,監督は必ずしも最も能力のある選手のみを使えるわけではないのです。
メキシコに移籍しても本田の能力は日本トップクラスですし,岡崎や香川も言及するまでもありません。
しかし,それでは次の世代にバトンタッチが出来ないわけです。
僕がハリルホジッチ支持派である理由として,この世代交代の視点が大きくあります。
この間のブラジル戦では浅野に批判の嵐が飛んでました。
前の起用でも「二度と使うな」などの声を聞きましたが,使わずして成長はありません。
まして,親善試合で使わずにいつ使うのでしょうか。
じゃあ何故興梠を呼んだのか,などと言う方もいるでしょう。
君はイチゴが好きという人がいたらイチゴしか食べないと思うのか,と頭を抱えたくなりますが,僕の見解を下に少しだけ。
まぁそんな馬鹿なアカウントはせいぜいツイッターにしか存在せず,こんなブログまで読まないのですが。
そういえば長友の「イタリア敗退ショック」というようなツイートに対して「他人の心配してる場合か」というリプがいくらか飛んでて仰天でした。
ナショナルチームに必要なのは,今がベストな選手(調子がいい選手),最も能力的に優れた選手,次世代の若手,安定感のあるベテラン,の4つの要素だと思ってます。
具体例を挙げます。
今がベスト・・・森岡や長澤
能力的に優れた・・・長谷部や原口
次世代の若手・・・井手口や遠藤
ベテラン・・・興梠
前回大会ではこのベテラン枠に遠藤や大久保の名がありました。
勿論これは簡単な組み分けであり,メンバー選考はもっと複雑なわけですが,僕個人の代表論なので真剣にとらえないでください。笑
ナショナルチームとクラブチームの最大の違いは試合機会です。
クラブでは徐々に合わせられますが,ナショナルチームは毎度同じチームではありませんし,機会も多くありません。
その中で世代交代を進めようと思うと批判にさらされながらもベストメンバーの中にいくらか組み込むしかないわけです。
ヴェントゥーラやオランダの失敗はここにあります。
だって,「これでドイツ大会のメンバーがいなくなってしまった」と言いますが,ドイツもブラジルもあの頃の選手は既に皆残ってませんから。
アッズーリの敗退に学び,ロシアの先まで考えられるチームを本選までにどこの国も進めていきたいところですね。
ご意見・ご感想ございましたらコメントいただけると嬉しいです。
拙い文章読んでくださってありがとうございました。