前半戦を終え、勝ち点32の7位でシーズンを折り返すことになったフィオレンティーナ。
サッスオーロとヴェローナに勝てず、最後に積み上げた勝ち点は2となりました。
ただ、僕はあまりこれを悲観的に見てません。
調子の良さに目が眩み、変に身の丈知らずな目標を掲げてはチームの正しい評価が出来なくなるので、初めから目指すところは具体で示しています。
何度も書きますが、僕が思う今季の目標は勝ち点60です。
これは、EL出場権が獲得出来るかどうかという瀬戸際になるところです。
これに向けて前半戦で獲得したい勝ち点は単純計算で30。
つまり、勝ち点2の貯金を作って前半戦を終えたわけです。
では、その貯金を作った前2節を振り返りましょう。
18節サッスオーロ戦。
前半は前プレで守備陣のリズムを作るパス回しを封じられ、無理に縦を狙ったところをカットされてカウンターを浴びます。
こんな調子で簡単に2失点。
なんとか敵を崩しても守護神コンシーリのスーパーセーブ続きで絶望感漂う出来でした。
正直勝てる未来が全く見えませんでしたね。
過去一上手く試合を運ばれていると感じました。
そこから後半まさかの逆襲です。
51分にトレイラの縦パスからヴラホビッチが抜け出して散々止められてきたコンシーリの守るゴールに強烈な一発を突き刺します。
その10分後にはヴラホビッチのシュートを敵がクリアしそびれて右に逸れたところをトレイラが押し込み同点に。
あっという間にヴィオラペース。
僕らはこんな試合を今季何度も観てきました。
イタリアーノの魔法です。
彼は一体ハーフタイムにどんな言葉をかけたのでしょうか。
このまま逆転勝利かと思っていた矢先、68分にビラーギが前半と全く同じ形でカードを貰い、退場。
残念ながら逆襲はここまで。
イタリアーノには珍しい消極的な交代で手堅く勝ち点1を取りに行きました。
ビラーギの退場がなければ...と思ってしまいますが、結果自体はコンシーリの好調と前半の出来を見ればドローで妥当かなと思います。
退場者を出してなおサッスオーロ相手に負け試合にしなかったことを評価したいと思います。
続く19節エラス・ヴェローナ戦。
こちらもサッスオーロ戦同様相手ペースで試合が進みます。
前半17分。
GKからのフィードを跳ね返されて、ボールはカプラーリに。
対応にミレンコビッチが出ましたが、ボールしか見えてなかったイゴールが抜け出すラザーニャのマークを外して簡単にスルーパスを通され、緩々の守備で見事に失点。
反撃しようにもサイドのソッティルとニコが完封され、ヴェヌーティとテルジッチのSBにも攻撃力が足りず、この試合は前後半通して相手ペースになります。
なんとか変化を加えようと試合から消えていたソッティルに替えて好調サポナーラを投入します。
しかし、ワンプレーの後、転んだときに手の上に敵の着地がきてしまい、不運にも7分でピッチを去ることになります。
おそらく骨折でしょう。
相手も故意のプレーではないですし、誰も責められません。
早く治ることを祈ります。
結局ピッチにはカジェホンが入ることになりますが、こうした状況を打破するのには現状最も不向きな選手なので、案の定何も出来ずに試合終了。
かと思いきや、81分。
ハーフラインを過ぎたあたりから(おそらく)ダンカンがエリア手前のヴラホビッチに縦パスを通すと、ヴラホビッチは左側フリーのテルジッチに流します。
そこからワンタッチで低い弾道のクロスを中に送り、敵の前に飛び込んだカストロヴィッリがダイビングヘッドでゴールに叩き込んで最後の最後に同点。
結局この2試合も全てのゴールにヴラホビッチが絡んでますね。
このまま試合を終えたフィオレンティーナ。
2試合連続の引き分けに終わります。
ヴェローナ戦はサポナーラの不運もあり、内容的には完全に負け試合でしたが、カストロヴィッリの男気でなんとか引き分けに持ち込みました。
勝ち点2を落としたというよりは、むしろ勝ち点1をもぎ取ったと言えそうです。
さて、では何故この2試合は相手に良いようにやられてしまったのでしょうか。
僕は戦術云々の分析は得意ではないですし、データに基づいた解説も出来ません。
あくまで試合を観ていたファンの印象論としてお読みいただければと思います。
例の如く浅いブログですので、あまり信じないように。
サッスオーロ戦、ヴェローナ戦、共に言えることは、まず敵の前線がこちらの守備陣に対してプレッシャーをかけつつ、しっかり守備陣形を整えてきたことです。
ヴィオラはここまでDMFとDF、GKでリズムを作り、敵を逃れながらサイドに揺さぶって空いたところで仕掛けてきました。
例えば、オドリオソラからボナヴェントゥーラやカジェホンにボールが入った時がそのスイッチになります。
あるいはニコの突破やビラーギからダンカン、ダンカンから前に送るボールですね。
それが難しい時はテラッチャーノやCB陣からヴラホビッチめがけてロングボールが入ります。
今季のヴラホビッチは収まるので、それを上手く落としたりサイドに流したりして攻撃が展開されるわけです。
しかし、とりわけサッスオーロ戦はこれが上手くいきませんでした。
敵の3トップがこちらのDF陣に対して激しく当たるというより、インターセプトを狙える位置に常にいます。
コンパクトに守るというより、これまでサイド攻撃を仕掛けてきたヴィオラに対して広く守ることでサイドチェンジによる展開をさせない構えです。
サイド攻撃を封じられたヴィオラはまるで為す術なくボールロストし、カウンターを浴びて失点と。
ラインブレイクやサイドチェンジ等で手薄になった守備の穴を突くのが得意なカジェホンは全く活きません。
無理やり突破しようとするニコちゃんも1人突破できてもその先に続かずロストでピンチを招きます。
唯一対応できたのがサポナーラで、ボールを保持しながらタイミングを待ち、意外性のあるパスで陣形を崩すことのできるアイデアマンです。
攻撃陣だけでなく、さらに良くないのがイゴールです。
パス回せなくなると、なぜか自分でボールを動かして前に出ようとするので、敵のカウンターの格好の的です。
ミラン戦のように緊急事態のDF陣だと余裕が無いのでイゴールも安全策しか取りませんでしたが、そうでなくなると彼は何故か余裕を見せます。
先日のまたぎフェイントからのロストなんてまさにそれですよね。
何やってんだか。
今後、イタリアーノ対策は間違いなくされるでしょう。
格下相手でも、前半戦のようには勝てなくなります。
他の上位クラブに比べて層の薄いヴィオラにとって、これは逃れられません。
だからこそ、この貯金2は大きいです。
勝ち切れない試合が増えると予想される中、大事なのはこのヴェローナ戦の結果です。
前半戦に落とした7試合。
この数をいかに減らせるか。
前にも書きましたが、負け試合を引き分けに持ち込む力が後半戦では絶対に必要になります。
その上で、独力で得点する力のあるイコネの獲得が決まりかけているのは朗報と言えそうです。
後半戦、期待したいのは、広く前から守ってくる相手に対してどう崩すか。
また、ヴラホビッチに依存している攻撃のバリエーションをどう増やすか。
手詰まった展開でも勝ち点1を取るための策をどう切るか。
正直守備に関してはあまり期待してません。
しばらく好調続きだったので見失ってしまいがちですが、僕らが昨季年間で積み上げた勝ち点は僅かに40です。
そのチームが前半戦で32の勝ち点を確保したのですから、出来としては満点です。
試合内容も明らかに面白いですよね。
フィオレンティーナはこうでなくては。
久しぶりに長い文書いたので疲れました。
最後に簡単に前半戦の選手採点をして終わろうと思います。
GK
ドラゴフスキ 5.0
怪我で出遅れた。足元の弱さがイタリアーノ政権下では命取り。
テラッチャーノ 7.0
イタリアーノに最もハマった選手の一人。安定感あるパフォーマンスは信頼に値する。
ロサーティ 6.0
チームを盛り上げた。カップ戦でのファインセーブは流石。3rd GKとしては十分合格点。
DF
ミレンコビッチ 6.0
危うさもあるが、対人と空中戦は流石の一言。DFラインもきっちり整えられるようになった。移籍してほしくないよ。
クアルタ 6.0
ペッセッラの穴など何のその。攻撃したがる癖もあるが、展開力は賞賛に値する。
ビラーギ 6.0
守備の脆さは言わずもがなだが、左サイドの攻撃に厚みをもたらしているのも事実。ただ、カピターノとしてはかなり不安。
ヴェヌーティ 6.0
推進力でオドリオソラに劣るが、守備の安定感は臨時でCBも務められるほど。バックアッパーとしては十分。
オドリオソラ 5.5
スタメンの主戦力としてはかなり心許ない。守備も苦しく、ボールを持つとロストが多い。しかし、アタッキングサードでは脅威になり得る。
イゴール 5.5
対人だけなら良いのだが、余計なことをしすぎる。安全にパスを回してくれ。
ナスタシッチ 5.0
怪我でほとんど戦力にはなれず。しかし、出場した試合では仕事ができる。某雑誌ではチーム内で最大の失望とされていたが、そこまでではないと思う。
テルジッチ 5.0
守備力に難あり。Aではまだ厳しいか。
MF
トレイラ 7.5
もはやトレイラ無しではやっていけない。守備力もさることながら、安定した組み立てにもちゃんと関与できている。早く正式に契約を結んでくれ。ずっとヴィオラにいてくれ。
ボナヴェントゥーラ 6.5
右サイドの攻撃を組み立てるゲームメイカー。やや判断が遅いが、イタリアーノの信頼には値する出来。
カストロヴィッリ 5.0
ボールを保持するプレースタイルがイタリアーノに合わず。ここで新たな境地を開拓できるか後半戦に期待。
ダンカン 6.5
時折怖いロストはあれど、効果的な縦パスも多い。リズムを崩さず流れを作るバランサーとして機能。
マレー 5.5
格下相手なら十分やれるが、他の選手に勝るような武器がない。現状ターンオーバー要員止まり。
アムラバト 5.0
イタリアーノの戦術に合わせるには、サイドの展開力に欠ける。実力は確かなぶん、勿体なくもある。
ベナッシ 5.0
カップ戦でも戦力に数えるのは厳しい。SBとしての臨時起用が出来るくらいで、中盤としてヴィオラでやっていくのはもはや厳しいか。
プルガル 評価不可
FW
ヴラホビッチ 8.0
文句無しの前半戦MVP。得点ランキングトップを独走し、攻撃におけるありとあらゆるタスクをこなした。成長は止まらない。
ソッティル 5.5
可能性を感じるからこそ、まだやれると信じてこの評価。フィニッシュ制度を上げ、ボール非保持の際の動きを洗練させたい。
ニコ 6.0
序盤こそニコ依存と言っていい突破力で攻撃の起点となったが、ヴラホの成長と離脱中のチーム力の向上で前半戦終盤は並の評価。やや強引な突破を仕掛けてカウンターを浴びることも。後半戦は数字に表れる結果が欲しい。
サポナーラ 7.0
ニコ離脱でチームがどうなるかと思いきや、WGとして見事覚醒。君こんなにサッカー上手かったのか。チームで最もIQの高いプレーで、得点もチャンスメイクもこなした。いい意味で最も期待を裏切った選手となった。
カジェホン 5.5
イタリアーノの信頼は厚いが、試合に入れないこともしばしば。物足りなさを感じる出来だった。イコネ獲得で出番も減るか。
ココリン 3.0
評価出来るところが全くない。カップ戦でBのチームを相手にしても、全く仕事が出来なかった。残念ながらイタリアでやっていく力はない。
前半戦ベスト
①ヴラホビッチ
②トレイラ
③テラッチャーノ
④サポナーラ
⑤ボナヴェントゥーラ
前半戦ワースト
①ココリン
②ベナッシ
③テルジッチ
④アムラバト
⑤カストロヴィッリ